みずほの楽天出資と提携の研究Ⅰ(楽天側のメリット)

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みずほが楽天銀行に10.52%の出資をするというニュースリリースが出た。https://www.mizuhobank.co.jp/release/pdf/20260520release_jp.pdf


お互いの思惑、メリットは何なのか読み込んでみた


①今回の資本業務提携の要点一番重要となるのは「具体的な業務提携の内容」の第一項目

「みずほ銀行がオリジネートする法人向け貸出の、楽天銀行による安定的な取得を可能とする枠組みを両社で構築することを検討してまいります。取得対象資産について、コーポレート貸出だけでなく、プロジェクトファイナンスやファンド投資等、多様な資産とすることも検討してまいります。」

オリネージとは“アレンジ・組成”の意味で貸出案件において

・顧客開拓

・案件組成

・条件設計

・審査を行い、

リスク・収益性等を評価して貸出可不可、詳細条件の設定を行うもの

ニュースリリースのこの部分の意味はそれを楽天銀行に買い取ってもらうという流れである。

②楽天側のメリット

まず楽天側の特徴としては・豊富な預金・デジタル顧客基盤・銀行/証券/カード事業の顧客一括管理であるが、

弱点としては

・法人営業/海外が弱い

・携帯事業の赤字から信用不安が付きまとう

・シンジケートローン組成/海外銀行との調整/M&Aファイナンス/政策金融案件が弱い

 ・みずほが弱いとされていたデジタル関係ノウハウが優れており、それにより広く個人から預金を集めることができる一方、今までの実績がないため特に大口の貸出先との関係が薄く資金運用ノウハウが浅い。

 今回の提携で、みずほからオリネージされたパッケージとして融資案件が提供されることになるので、大口顧客へのコネクションが不要になるので一番の弱点が補完される

 この部分を独自に強化しようとしても強いのはメインバンクだから買収は不可能。そこを退職した人を集めてチームを作るしかなかったが其れだと何年かかるかわからなかったことを考えると最良の選択肢だったろう

 海外案件についても同じでみずほが現在力を入れている海外投資案件も同じルートで楽天が運用できることになる

 ・みずほが10.52%出資をするというのは楽天銀行の信頼性に大きく寄与する。通常10%以上が大口とみなされるので、市場からのイメージはみずほの本気度を感じられる数字になる。

 一方、持ち分法の適用を受ける20%よりは大分少ないので楽天の自主性を妨げるものではない

 また今後、楽天モバイルの融資に関してはみずほがイニシアティブをとり、信用を付与しシンジゲートを構築していくことになる

 ・楽天が苦手な案件の対応もみずほがまず引き受けることですべて解決する


③楽天の今後

i)新商品の開発

 楽天はこの発表と前後して楽天グループ内のカード/証券を完全子会社化した。これによりグループ全体最適での意思判断が加速することになる。また商品設計も証券会社を一部門として位置付けることができる。   

 例えば、みずほより譲り受けた融資案件パッケージは楽天銀行が所有しているだけでも運用利益を得ることができるが、さらに小口化して個人に楽天証券を通じて販売することも考えられるつまり

・みずほフィナンシャルグループ:

融資設計

リスク管理

大口組成

・楽天証券:

小口化投資商品化

個人販売

UI/UX

「銀行の工場」と「個人向け販売機能」の分離で新商品の開発を行う事もできるようになる

ii)法人で働く個人の取り込み

 みずほが融資している企業で従業員給与口座・福利厚生を楽天へ移すことが可能になる。関連会社・子会社への楽天サービス拡張も視野になる

また楽天グループの持つ各種商品の個人営業が活動しやすくなる。つまり個人顧客開拓のための新しいルートが一つできることになる

対面重視のみずほ証券ではできなかった営業である

iii)大型/複雑な案件

 従来取れていなかったような楽天が苦手としているような大型/複雑な案件は、みずほに引き受けてもらう、支援を受けることで取り込める